2.免疫とウイルス感染との関わり

日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療について(医療従事者向け)Q&A

1.疫学的なこと(がん患者さんのリスクなど) 【臓器別】                
2.免疫とウイルス感染との関わり Ⅰ.食道がん
3.検査 Ⅱ.胃がん・GIST
  • COVID-19流行期におけるがん関連の検査について Ⅲ.大腸がん
  • がん患者におけるCOVID-19検査について Ⅳ.肝胆膵領域の悪性腫瘍
4.外科的治療 Ⅴ.耳鼻咽喉科・頭頸部領域のがん
5.放射線治療 Ⅵ.口腔がん
6.薬物治療  Ⅶ.泌尿器がん
  • 細胞傷害性抗腫瘍薬 Ⅷ.婦人科がん
  • 分子標的薬 Ⅸ.乳がん
  • 免疫療法  
  • ホルモン治療  
7.補助療法(輸血など)  
8.治療後の経過観察や通院  
9.その他  

 

2.免疫とウイルス感染との関わり

1)どのような治療で免疫が落ちますか?
 がん患者でも自然免疫は維持されていますが、骨髄抑制をもたらす化学療法などがウイルス感染、増悪化のリスクを増大します。実際の診療では、主治医が各治療薬の有益性と不利益に加え、来院によるSARS-CoV-2感染リスクも考慮し、病状の落ち着いている患者には治療の中断や受診間隔の延期も検討するべきと考えられます。

▶ ASCO:
https://www.asco.org/asco-coronavirus-information/provider-practice-preparedness-covid-19

▶ ESMO:
https://www.esmo.org/for-patients/patient-guides/cancer-care-during-the-covid-19-pandemic

▶ NHS England:
https://www.england.nhs.uk/coronavirus/publication/specialty-guides/

▶ 日本臨床腫瘍学会:
https://www.jsmo.or.jp/news/coronavirus-information/qa_medical.html

[解説]
ウイルスに対する免疫には全ての細胞が持っている自然免疫といわゆる免疫細胞による獲得免疫の2種類があります。このうち自然免疫についてはがん患者でもあまり落ちないと考えられています。過去14日以内に抗がん治療(化学療法、免疫療法、放射線療法を含む)を受けた28人の患者を調べた結果では一般人と比べ4倍以上の重症化の危険性があると報告されています(Zhangら, Annals of Oncology)。また、武漢大学病院に入院した1380人のCOVID-19患者のうちがん患者は37人(2.7%)で、武漢の一般市民のがん有病率(0.45%, 50,006/11,081,000)に比べ6倍高いこと、また重症化率も54.1%(20/37)と高いことを報告しています(Maら, Journal of Infection)。しかし、いずれの報告も症例数が少なく、層別化はされていません。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32224151

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0163445320302140

2)重症化に免疫は関与しているのでしょうか?
 ウイルス感染を受けた細胞から分泌されたインターフェロンなどにより免疫細胞が活性化し様々なサイトカインを介して獲得免疫が構築されます。サイトカインが過剰に分泌されるとサイトカインストームと呼ばれる状態になり、活性化した免疫細胞が正常な細胞にもダメージを与えるようになりCOVID-19の重症化に関与しているとの説が有力です。なぜサイトカインストームが起きるかはよく分かっていませんが、主要な炎症性サイトカインであるIL-6の血中濃度最大値と肺炎の重症度との間に明確な関連があることが報告されています (Russellら, Ecancermedicalscience)。

https://doi.org/10.3332/ecancer.2020.1022

 

 [ページ上部に戻る]